マルタ留学コラム&ブログ

モスタに眠る「奇跡の歴史」と地下防空壕

前回のコラムでは、マルタ島の中央にそびえる世界最大級の無柱ドーム「モスタ・ドーム(聖マリア教会)」のスケール感をご紹介しました。
今回は、このモスタを語る上で絶対に外せない「大爆発を免れた奇跡の物語」と、歴史の裏側に触れられる「地下スポット」をご紹介します!

300人の命を救った「不発弾の奇跡(1942年4月9日)」

第二次世界大戦中、地中海の要衝だったマルタは、軸心国(ドイツ・イタリア軍)による激しい空爆に晒されていました。
1942年4月9日の夕方、モスタ・ドームには夕方のミサのために約300人もの町の人々が集まり、静かに祈りを捧げていました。

その時、突然轟音が響き渡り、ドイツ軍の爆撃機から放たれた500kgもの巨大な爆弾が、ドームの天井をドカンと突き破って聖堂内に落下したのです!

天井から降り注ぐ石片と静寂。誰もが死を覚悟したその瞬間……
爆弾は床の上をゴロゴロと転がったものの不発のまま停止。さらに驚くべきことに、同じタイミングで教会の外壁に当たった残り2発の爆弾もすべて不発
聖堂内にいた300人の信者は、誰一人として怪我をすることなく無事生還したのです。

地元の人々はこれを「聖母マリア様が起こしてくださった奇跡」と信じ、今も「Il-Miraklu tal-Bomba(爆弾の奇跡)」として語り継いでいます。

教会内には、当時の爆弾のレプリカ(実物大)と、天井に残された痛々しくも誇らしい修復痕を見ることができます。


地下に広がる「WW2防空壕」

そしてもう一つ。モスタ・ドームを訪れたら、ぜひ足を運んでほしいのが教会の広場のすぐ近くにある「第二次世界大戦の地下防空壕(Mosta WW2 Shelter)」です。

一歩地下へ降りると、手作業で岩盤を掘り進めて作られた狭いトンネルがどこまでも続いています。
当時、激しい空爆から逃れるために、地元の人々がろうそくの明かりだけで数ヶ月もここで生活していた息遣いや苦難の歴史が、ダイレクトに伝わってきます。

光あふれる巨大なドームの「静」と、漆黒の地下防空壕の「動」。
この2つを合わせて巡ることで、モスタという街が乗り越えてきた歴史の深さを実感できるはずです。

モスタを訪れ、ドームの見学をしたあとは、広場に面したローカルカフェで「パスティッツィ(マルタ伝統のリコッタチーズパイ)」をつまみながらお茶をするのもお忘れなく。
毎年8月15日前後はモスタ最大の祭り(聖母被昇天の祝日によるFesta)が開催され、街中が豪華な装飾と花火に包まれる様子も、一度は見てみたいイベントですね。

世界有数の建築美、運命を分けた奇跡のストーリー、そして戦争の跡が残る地下防空壕。
マルタで時間に余裕がある方は、ぜひこのモスタという街で、静かな奇跡の風を感じてみてくださいね。

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